Pioneer F-C3 付属AMアンテナ 性能同等品 の製作実験


  追記 20190610
   私の会社にて
    ANT18-OR オーディオチューナー用中波ループアンテナキット
   を販売開始しました。
   F-C3 にて感度向上を確認しています。もしよろしければご検討お願いします。



切り貼りが多く 編集・構成が雑ですが、あまり時間を掛けたくないので ご了承願います。

(BLOG うどん屋のカレー より ) チューナー付属AM用ループアンテナの同等品自作その1

ラジオ音質の研究・参考用としてヤフオクで中古チューナー3台を落札した。
いろいろあって最終的に手元に残ったのは2台。(別モデル)

オークションでチューナーを見ていて気づいたのは
・AMのループアンテナの欠品が多い
・説明なしで別モデルのAMループアンテナを付けている出品がある
こと。

AMではなくて、FMの付属アンテナは以下2種類で
 フィーダーアンテナ:原理的にどのメーカーのものも違いがほとんどない
 単なるワイヤー:ほぼオマケ、かなりの強電界地域以外では別途用意前提だろう

更に言えば、基本的にFMのアンテナ端子は75Ωに決まっているので
付属アンテナが 付いていなくても、非純正でも 気にする必要が無いが

付属のAMアンテナは
アンテナをつなげた状態でチューナーの入力回路の調整をしていると考えられる為
FMと違って何をつなげても同じとは限らない。

但し、このような部品は
大手部品メーカーが設計製造したものを各チューナーメーカーが購入している
場合も多いと思われる為、かなりの互換性がある可能性はあるが
チューナーのスペックや回路図を見ても全くわからない部分である。

 * 性能を問わなければ受信は可能な為 大差無しと考えて
   ヤフオクなどで 黙って非純正品を付けている出品があるのだろうけど
   技術的詳細を知らずとも 純正でないと知っているなら
  「非純正」と書いていただきたいものだ。
   落札者はお金を払うんだから。

オークションでループアンテナ付きの中古チューナーを買うときは
 取説を探して純正アンテナのイラストを見る
 Googleの画像検索でアンテナの写りこんだ画像を複数見ておく
位はやっておくことをお勧めする。


前置きが長くなったが
今回、研究・参考用に「とても良い、唯一無二かも」と思われるチューナーを入手したのだが
(機種名は次回までお待ちを)
ループアンテナが付いていなかったので 純正ループアンテナの形状を画像検索で推測し
純正アンテナが付いている中古をamazonでもう一台購入した。

唯一無二かもしれないチューナーなので
純正アンテナを調査、同等品の製作を行ない技術情報と作り方を公開しようと思う。
「思う」と書いたのは、まだ作業を始めていないため。


入手した純正アンテナ、あまり見かけない横長形状
IMG_0977.png



(BLOG うどん屋のカレー より ) チューナー付属AM用ループアンテナの同等品自作その2

アンテナ製作はまだ計画中。

わからないものは「まずは作ってから考える」もあるけど
今回は大体作れば大体似たものが出来るのはわかっているので
できるだけ 大体じゃない手順 を机上検討してる。


サガミエレクさんのMW用ループアンテナの資料をみつけた。
https://web.archive.org/web/20101128081951/http://www.sagami-elec.co.jp/file/4910_4911.pdf

スペックが
インダクタンス・DCR・Q でLCRメータで1MHzで測定
と、まるで普通のインダクタみたいなのは
アンテナでありながら単に口径の大きい空芯コイルに近いものだと暗示しているようだ。


手持ちのインダクタンスが測れる測定器を3種類持ってきて
サガミエレクさんの資料と形の似た ONKYO MA-700u 付属 AMアンテナを 測定してみたところ
(形が似ているからスペックが同じとは全く言えないが)


①テスタ型のLCRメータ(確か10年位前に6,000円位で買ったやつ)
は、最小レンジにしても、表示が 001 になってしまい
測れているのか測れていないのかわからないので測定不可であった。
* 測定周波数は表示されないがスペックを見れば書いてあるかも知れない。
* まるでダメダメなようだがコンデンサは1pF位まで使える。

測定不能なので写真省略


②本命、アンテナアナライザ(確か10年位前に25,000円位で個人輸入)
http://www.philipstorr.id.au/radio/seven/testgear/Autek_VA1.pdf
一般にアンテナはLCRメータで測るものではない。*1
多くの場合、使用周波数で共振しているので
測定周波数が分からない測定器で出てきた値はほとんど意味をなさない。

 *1 中波以下のアンテナでは、上記サガミエレクさんのスペック同様
    測定周波数を設定できるLCRメータで測ることが多いようだ。

VA1 は見た目も操作性もローテク感がすごいけど実はほんとに凄い奴(すごかった奴)。
測定周波数を設定し Z=R+jX の R , X , Xと周波数から計算した L・C 他が測定できる。
今も売っているようだが、今ならもっとハイテク感ありありなのを買った方が良いと思う。↓
http://www.ja1scw.jp/shop/aa-55z.html
使ったこと無いからお勧めは出来ないけど。。


周波数を設定
IMG_0987.png


R を測定 2[Ω]
IMG_0986.png


X(Xl エックスエル) を測定 j120[Ω]
IMG_0985.png


Z = R +jX = 2 + j120 [Ω]

Xl = 2*π*f*L より
L=(Xl) / (2*π*f) = 120/(2*3.14*999e3) = 19.1 [uH]

Q = (Xl) / R = 120 / 2 = 60

サガミエレクさんの資料と結構近い値ではないか。


③最近ヤフオクで買った中国製らしい?なかなか賢い測定ツール LCR-T4

こんな感じでつないでいる
IMG_0988.png



測定結果
インダクタ(自動判別), L=0.02[mH], R(DCR?)= 1.1[Ω]
IMG_0989.png


あと1桁インダクタンスが大きければ使えたかもしれないけど残念でした。



それと 前回機種名を書かなかった(ヤフオク参戦中だった)唯一無二かもしれないチューナー名は
Pioneer F-C3
AM チューナーの高域がびっくりするほど伸びている。
相対的に中低域が薄くややキャンキャン聴こえるのが少し気になるものの
普通のチューナーでは高域がIFのフィルタで急峻にカットされているため
後段の調整で出せるようなものでは無いが
中低域はトーンコントロールでもスピーカ選択でも自分で調整出来るのでこの高域の伸びは貴重。

チューナーの名機 KENWOOD KT-1100D と比較した音を上げてくださっている方がいるので
興味のある方はご確認を。
http://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/amf-c3-3247.html



(BLOG うどん屋のカレー より ) チューナー付属AM用ループアンテナの同等品自作その3

MW用ループアンテナのインダクタンスを計算するiMemoのスクリプトを書いた。

長岡係数の使用の為、計算方法・計算ソフトの選択 に時間を費やし
もらいものばかりの割には時間が掛かった。
(結局 エクセル用に作られた楕円積分の式を丸々もらい、iMemoのVBScriptで利用)

インダクタンス計算



そのまま貼るには長いので添付ファイルにした。
LoopAntCalc_iMemo_Ver20180522.zip



! 精度やバグは保証できませんのでその点ご了承頂ける方のみお使いください。

! 丸型ループアンテナは 単層ソレノイド の計算を使ってください。

! この手の計算は2割程度の誤差は見込んでおき実物で合わせるのが割と普通です。


(BLOG うどん屋のカレー より ) チューナー付属AM用ループアンテナの同等品自作その4、5、6

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ここ以降は2号店の為に書いた

BLOGのつづき

考察


F-C3純正アンテナ形状


手順



< 試作機1 作成 >

試作機1  木枠の設計図面
試作機1図面



< 純正アンテナのアンテナ部分と 試作機1のアンテナ部分 比較 >

純正アンテナのアンテナ部分 測定
純正測定1


試作機1(仮組)のアンテナ部分 測定
試作機測定1



測定結果
0.5 [MHz] の測定結果は怪しい。ノイズ(電磁波)か?測定器のバグか?
1[MHZ]以上は正常なようなので深追いしなかった。
試作機1測定



< 試作機2 寸法算出 >

試作機1のインダクタンス計算値と実測値を比較することで計算のズレの割合が分かる。
ズレ分を見込んで再計算し、純正アンテナと同じインダクタンスになる寸法を求め、 試作機2を設計。

試作機2  木枠の設計図面
試作機2図面1


< 試作機2 作成 >

試作機2 組み立て中。 底面
試作機2作成

完成した試作機2 と 純正アンテナ
zyuseitosisakuki2


< 試作機2 と純正アンテナ を測定 >

最初にツイストペアケーブルの特性インピーダンスを測定してみた。
ツイストペアケーブルの測定の様子
twist測定

参考の為、同じ長さの 5C-FB を測定
5Cfb


ケーブルの 測定結果と 計算した特性インピーダンス
アンテナアナライザの測定レンジ外で測定不能の部分も多いが、手持ちの測定器の関係でやむを得ない。
試作機の特性インピーダンスが低いのは撚りが強く(撚りが普通で)容量分が大きいからと思われる。
5C-FB は公称のインピーダンス値 (75Ω)に対して85~88Ωとなった。
誤差はありそうだが、測れていると判断して良いだろう

特性インピーダンス測定


アンテナ部分のみ(巻線部分のみ)の測定結果
巻線部のみ、最終


ツイストペアケーブルも含めたアンテナの測定結果(チューナーのアンテナ端子から見たアンテナの特性)
全体、最終

測定の結果、
リアクタンス成分(インダクタンス, L[uH])の値は ほとんど同じにできたようだ。
Tuner接続位置でのインピーダンスも差異がほとんど無いことから
ツイストペアケーブルの特性インピーダンスの差異はこの長さではあまり影響していないようだ。
正確にはスミスチャート描画ソフトに入れてみれば影響の程度が分かると思う。
(元もとケーブルの特性インピーダンスは、問題が出たときにスミスチャートで検討する為に測定した)

純抵抗成分(R) の値は、アンテナアナライザ―のレンジ下限付近であり
測定中やや不安定で、測定値を見ても怪しさが漂うが
傾向的には純正アンテナの方が小さいように見える。
試作機は純正品より線材のロスが大きい可能性がある。
純正品の線材はやはり銀メッキだったのだろうか?

一方、試作機2はループ面積が数パーセント 純正より大きいので(正確な値は未計算)
その点では有利なはずである。


< 試作機2 と純正アンテナ を実働比較 >

我が家において、オーディオ用チューナーでは受信状態のあまり良くない TBS,文化放送,ニッポン放送 を受信し 聴感で比較した結果
2つのアンテナの感度、対ノイズ性能の差異は判別できなかった。

但し、感度測定をしていないので
抵抗成分の差異が原因で聴感では判別できない程度の差(試作機が劣る)がある可能性は否定できない。

ここまでの感想と今後の予定

今回、
  純正アンテナとほぼ同じ大きさで、  無駄なコストを掛けず、同じ性能のアンテナを作る
予定であったが、ちょっと面倒な(尊大な)テーマだったんだな と感じた。

「安っぽく小さな純正アンテナ」にはメーカーの長年のノウハウが蓄積されているのだ。

今後のテーマとして
技術的には
銀メッキ線、リッツ線などを用いて、抵抗成分を純正品並みにする実験や
アンテナ性能を自宅で数値評価する方法の検討
などが考えられるし、

実用面では
オーディオチューナーでは聴くに堪えない我が家の受信状況を改善するアンテナを作る
純正アンテナの無いチューナーをオークションで入手した人の為の 安くて良いアンテナを作る検討 なども考えられる。

気が向いたらどれかやろう思っている。



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